【作家紹介】香久山 雨

香久山 雨  Ame KAGUYAMA 

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画像作品:香久山 雨 「祈る場」 アクリルキューブ、インクジェットプリント 2017


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わたしが14 歳のときに父は末期ガンになった。
病院へ会いに行くたびに、細くなっていく父をじっと眺めていました。するとある日突然、自分の腕より細くなった父の腕が、とても美しく見えたのです!誰に見せるわけでもないけれど、それを絵に描きとどめました。デザインでもなく、イラストでもなく、絵というものを面白く感じたのは、この日が始めてだったように思います。

世間に流されるまま芸大の油絵科に進学したわたしは、月並みに西洋美術史を学んだり、現代美術について学んだりしたのですが、よその国の文化や思想を自身のものにするのは大変な労力を要するものでした。
ある日、「これを自分ごととして受け止めるにはたくさんの工夫がいる。業界のなかで耐え、自分のなかで〝何か〟が捻れてしまうことも、たくさん経験することになるのだろう。」と、スッと気持ちが離れていってしまったのを覚えています。
大学院は、願書を出したものの、当日、試験を受けには行きませんでした。勉強することが面倒だったわけではないのです。ただ、大学は手触りを伴う実感を得られる場所ではなかった、ということです。

さらに流れ着いて美学校に来てしまった。しかも超・日本画ゼミ。

父が死んで13 年経ちます。こんなに時間が経っても、14 歳の、父の腕を描いていた頃のわたしのまま変わっていません。変わるのは、日々暮らす部屋、移り変わる自然、周りにいてくれる優しい人々の残像ばかりです。
作品、特に絵は、自覚できない自己と世界との折り合いの記録で、立ち現れた作品が価値を持つ必要はないと思っています。

何者か( もしくは自分) による価値づけ=恣意的なコントロール、に、意味がある時代は、もうとっくに終わっている。これから必要になるのは、共に感じる力のみ、と、信じていますから。

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